「二週間に一度だけ。それなら私も奈々美ちゃんの記憶を取り戻すために協力する。その代わり、リハビリにも一切手を抜かないこと。カウンセリングも大切だから、しっかり受けること。必ず一人では行かないって、約束してね」



困ったように微笑んだ表情は、"こうなった奈々美ちゃんには何を言っても無駄だ"と諦めた後のようなもので。



「……東海林先生も立花さんも、本当に優しすぎるよ」



その優しさが、今の私にとってどれだけ心強くて嬉しいものか。


涙が滲みそうになり、鼻を啜りながら上を向く。


天井の照明の眩しさに目を細めているうちに思わず零れ落ちた笑み。


立花さんもつられるように小さく笑って、そんな穏やかな空気のままゆっくりと病室に向かった。