「奈々美。大丈夫か……?って、なわけないよな。ごめん」


「ううん。ごめんね。見苦しいところ見せちゃった。心配かけてごめん。立花さんとか呼んでくれたんだよね?ありがとう」


「気にすんなよ」



どうしてあんなことになったのか、龍之介くんだって知りたいはずなのに。


彼は何も言わず、何も聞かず。



「……じゃあ奈々美の意識も戻ったし。美優、俺も帰るわ。奈々美、ゆっくり休めよ」



そう言って立ち上がって私のベッドのカーテンを閉める。



「うん。ありがとう」



顔が見えなくなる直前にもう一度お礼を言うと、ぎこちなく笑った。



「美優、奈々美に何かあったらすぐナースコール呼んでやれ」


「もちろん。じゃあねお兄ちゃん」



カーテン越しに聞こえる声に感謝しながら、私はもう一度眠りについた。