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……長い、果てしなく長い夢を見ていたような気がする。


意識が浮上して、うっすらと目を開く。


思いの外ずっしりとした瞼の重さを感じながらも、数回瞬きした。


視界に入り込んできたのは、汚れひとつ無い真白な天井。


そしてツンと鼻に付く薬品の香りに、眉間に皺が寄ったのがわかる。



……病院?



そう理解するまでにどれくらいの時間を要したのだろう。


どうして病院に?


そう思いながら、かゆみを感じて目を擦ろうとする。


しかし腕を上げようとすると、ピリッとした電流のような激痛が走り。



「っ……」



声にならない声が漏れた。


そこで初めて、口元に何かが付けられていることに気がつく。


しかし痛みで手も動かせないため確かめることはできない。


どうにか視線だけを可能な限り下げると、見たこともない半透明の楕円形のものが見えた。



……何これ。酸素マスク?



呼吸をするたびに白く曇るソレ。その先には何か管が付いているようだ。


その管を辿って首を横に向けると、台にぶら下がった点滴、よくわからないけれどピコピコと動いている機械。それからドラマで見るような、心臓の動きを確かめる機械。心電図と言ったか。


初めて見たその実物。規則的に動いているのがわかる自分の心臓。


たくさんの機械に囲まれているのを、どこか他人事のように感じていた。


自分自身に何かが起こって、治療を受けて入院しているのだろう。


今わかったのは、それだけだった。


急に頭を使ったからだろうか、ズキンッとこめかみの辺りが痛む。


眉を顰めながらゆっくりと息を吐いてその痛みに耐えていると、少し離れたところから扉が開く音がした。