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「……ん」


「……奈々美?……おい、奈々美!」


「え、奈々美ちゃん!?お兄ちゃん、ナースコール押すよ!」


「あ、あぁ、頼む」



霞む視界の中で、美優ちゃんと龍之介くんの声がした。



「奈々美!聞こえるか?」



肩を軽く揺すられて、段々と視界がはっきりしてくる。


照明の明るさが眩しい。



「……りゅ……うのすけ、くん?」



その大きい手の持ち主を認識して名前を呼ぶと、



「はぁー……。良かった」



と心底安心したように膝をついて、私の肩の近くに顔を突っ伏した。



「えっと……どうしたの……?」



状況が飲み込めない私は、龍之介くんの様子を見て眉を顰めることしかできない。



「奈々美ちゃん!目が覚めて良かった!」


「美優ちゃん……?」



声のする方に首を向けると、泣きそうな顔で笑っている美優ちゃんがベッドにいた。



「あれ、私……いったい……?」



なんで寝てたんだっけ。そう思っているうちに、病室のドアが開く。



「奈々美ちゃん!」



立花さんと、その後ろから東海林先生も走って部屋に入ってきた。


まだボーッとした頭では、何が起こっているのかよく理解できない。