「……っと……、大丈夫か?」
乾いた音はしたものの、痛みは無くて。そっと目を開くと、龍之介くんがボールを持ちながら心配そうに顔を覗き込んでいた。
「あ……うん。ありがと」
どうやら龍之介くんが受け止めてくれたらしい。
「ったく。気を付けろよ」
慌ててボールを取りに来た男の子が、
「ごめんなさい。お姉ちゃんも、ごめんなさい」
としょぼんとして頭を下げてきた。
「うん、大丈夫。もう飛ばさないようにね」
「はぁい」
素直な子に手を振って、
「龍之介くん、ありがとう」
ともう一度お礼を言う。
「お前も危なっかしいからな。気を付けろよ?」
なんて、耳を赤くして言われても。
「はーい」
さっきの男の子を真似てみると、照れ隠しなのか頰に軽くデコピンされた。