「……あ、ありがとう」


「ん。いつも美優でやってるから気にすんな」



照れてしまう私と対称的に、なんてことないように丸椅子をこちらに持ってきて隣に座る龍之介くん。


立花さんはそのまま病室を出て行って、必然的に二人になった。



「美優ちゃんは?」


「なんか検査だって連れてかれた」


「そっか」


「奈々美も検査かなにか?」


「私はリハビリ。明日から毎日やるみたい」


「そっか。痛みとか大丈夫か?」


「うん、ちょっと痛かったけど大丈夫。ありがとう」



そのまま二人で喋っているうちに美優ちゃんが戻ってきて、立花さんに怒られない程度に龍之介くんを真ん中に挟んでお喋りをする。


最近じゃあ、このスタイルがいつものことになってきていて、私の癒しの時間だ。


二人のご両親は共働きらしく、龍之介くんが定期的に美優ちゃんの服を洗濯しては届けに来ている。


私は病院側から服をレンタルしているからそういうのは無いけれど、毎日のように来ているのはそれが一番の理由だろう。


行きは学校からや家からバスで来るらしいものの、帰りは二人のお母さんがお見舞いがてら迎えに来るので一緒に車で帰っているそうだ。


だから龍之介くんは、二人のお母さんが来るまでは大体ここにいる。


そりゃあ、美優ちゃんに友達いないってからかわれるわけだ。だってしょっちゅうここにいるし。



「ん?どうした奈々美?ニヤニヤして」


「ううん。なんでもない」


「変なやつだな?」



そんな些細な会話も、結構楽しい。