一週間後。
「っ……」
「もう一回動かすよ。ちょっと頑張ってみようか」
「はい……」
足の骨折は少しずつ回復しているようで、今日から膝の曲げ伸ばしのリハビリが始まった。
車椅子に乗る時も足を伸ばして乗っているから、膝をしっかりと曲げるのは多分久しぶりのこと。
ピリッと、刺すような痛みが走った。
「痛む?」
「はい。……ちょっと」
「こっちは?」
「そっちは大丈夫、です」
「ん、わかったよ」
理学療法士さんが私の足を持って、ゆっくりと動かしてくれる。
こうやって怪我の治り具合とか、筋肉の落ち方とかを見ているようだ。
すぐ側には東海林先生もいて、レントゲン写真やパソコンのカルテを見ながら私の症状を話し合っている。
その間に私は立花さんに手伝ってもらって車椅子に乗った。
やはり大分右足の筋肉が落ちてしまっているらしく、様子を見つつ、できれば毎日リハビリを進めていくことになった。
立花さんと話しながら病室に戻ると、そこには龍之介くんの姿があった。
しかし美優ちゃんの姿は無く、ベッドは空だ。
「あ、龍之介くん。来てたんだ」
「……あ、奈々美。……さっき美優の着替え届けに来たんだ」
「そっか」
学校帰りなのだろう、学ラン姿の龍之介くんは手に持っていた漫画をパタンと閉じたかと思うと、立花さんに声を掛けてその立ち位置を代わるとベッドの横まで車椅子を押してくれて、さらには私を抱えるようにしてベッドに戻るのを手伝ってくれた。