「だって、お兄ちゃんと奈々美ちゃん、よく顔合わせるのに全然喋ってないから。奈々美ちゃんもすぐカーテン閉めちゃうし。ね、ちょうど良いじゃん!お兄ちゃんも人見知りって言ってたら友達できないよ?」


「余計なお世話だ」


「じゃあ、奈々美ちゃん!お兄ちゃんのことよろしくねー!」



否定する間も無く、同じように車椅子に乗せられた美優ちゃんは笑顔で病室を出ていき。



「……」


「……」



残された私たちは、とても気まずい状態になってしまった。



「……なんか、ごめんなさい。私のことは気にしなくて良いんで」



居た堪れなくて愛想笑いをしてカーテンを閉めようとすると、急に立ち上がった龍之介くんは椅子を持ったまま何故か私の元へ歩いてきて。


私のベッドの隣に椅子を置いて、座り直した。



「……龍之介でいいよ。俺の方が年下だし、敬語もいらないから」


「……あ、うん。わかった。龍之介くんも敬語いらないからね」


「……ん。わかった」



龍之介くんはそのまま特に何かを言うわけでもなく、座ったまま窓の向こうを向いていた。


その視線を辿ると、私の視界にも綺麗な青空が入ってくる。



「……今日は天気良いね。昨日は雨だったのに」



昨日は雨で、夜寝苦しいほどの雨音が響いていた。


それに比べて今日は快晴だ。それだけで気分も上がるもの。



「そうだな。……なぁ、俺、ちゃん付けとか慣れてないし、奈々美って呼んでいい?」


「うん」



ついさっきまで他人以上知り合い未満だったのに、なんだか急に友達みたいになって少しソワソワした。