───それから、二週間が経過した。


足のレントゲンを取った帰り、車椅子を立花さんに押してもらっている時に病室から声がした。



「あ、奈々美ちゃん!おかえり!」


「ただいま……あ、こんにちは」


「……どうも」


「だからお兄ちゃん!愛想悪すぎ!」


「お前はうるせぇなあ」



美優ちゃんのベッドの隣には、丸椅子に腰掛けた龍之介くんの姿があった。


お互いに軽く会釈して、ぷりぷり怒っている美優ちゃんに苦笑いしながら立花さんに押してもらって自分のベッドに戻った。


カーテンは開けたままだったため、立花さんに介助されながらベッドに寝転がる姿が龍之介くんからも丸見えだ。


それがすごく恥ずかしくて、居た堪れない気持ちになった。



「じゃあ次は美優ちゃん、レントゲン行きますよ」



立花さんの声に、美優ちゃんはどこか嫌そうに「はーい」と返事をする。そして思い立ったかのように、



「あ、お兄ちゃん。お母さんが迎えに来るまでどうせ暇でしょ?奈々美ちゃんとお話ししてたら?」



とニヤニヤしながら提案してきて。



「は?」


「え、美優ちゃん?」



同じタイミングで戸惑いの声を上げた。