とは言え、テレビを付けたところで午前中はテレビショッピングばかりで大して面白いものはやっていないから、聞き流しながら引き出しからノートを出して、そこに日記のように思ったことを書いてみる。



"うらやましい"



左手で力無く書いた六文字には、様々な思いがこもっていた。


鉛筆をぎゅっと握りしめる。


本来ならば交わることがなかったはずの世界、だなんて。そんな綺麗事はただの建前だ。


私は、美優ちゃんに少なからず嫉妬していた。


私には広瀬先生しかお見舞いに来てくれないのに。


記憶が無いのに、何も思い出せないのに。友達どころか両親ですら来てくれないのに。


美優ちゃんの元には家族も来るし、こうやって友達も来る。それが、羨ましいと思ってしまった。



"フキンシンな自分が、イヤになる"



漢字で不謹慎と書くことができなくて、カタカナで書いてからノートを引き出しにしまった。