───あの日死んだのは、臆病で弱くて逃げることすらできないで絶望していた"わたし"だった。
人格が変わったわけではないし、厳密に言えば"わたし"と"私"は同一人物。
だからこそ、今を生きる"私"は、臆病な自分も、弱い自分も受け入れて。
ただ絶望して諦めるだけじゃない。時には立ち向かうことも抗うことも逃げることも覚えて、人を頼って、甘えることも知って。
自分の身体を、自分の命を大切にして、周りの人へ頼りながらも感謝を忘れずに生きていく。
だって私はもう、一人じゃないから。
それを教えてくれたのは、きっと――
「奈々美ちゃーん!」
「美優ちゃん!お待たせ!」
「ほら、行くぞ奈々美」
「うんっ」
──"わたし"が死んで、"私"が生まれた日。
End