「えーと、今年一年このクラスを受け持つことになりました、深山 修斗です。科目は数学、好きな食べ物は奥さんが作る料理全部、最近の日課は子どもとトランプで大富豪をすることです。よろしく」


「だからのろけんなって」


「うっさい。じゃあまずはクラスも変わったことだし、皆も一人ずつ自己紹介するか」



えぇー!というブーイングが起こる中、楽しそうに進めていく先生に龍之介くんもどうやら呆れてるみたい。



「乙坂 龍之介です。よろしく」


「おいおい乙坂、それだけか?もっとあるだろ。好きな食べ物とか科目とか」


「無いしめんどくさい。以上」



龍之介くんらしい自己紹介。その後も皆個性あふれる自己紹介が続き、ついに私の番が来る。



「……初めまして。桐ヶ谷 奈々美です。知ってると思うけど皆より一つ年上です。でも同い年だと思って仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」



温かい拍手が聞こえ、顔を上げると廊下側から龍之介くんの笑顔が見える。


愛美ちゃんも「よろしくね」と言ってくれて、緊張がほぐれて頬が緩んだ。


休み時間には愛美ちゃんの友達とも仲良くなることができて、どんどん交友関係が広がっていく。



「ねぇ奈々美ちゃん、新しく駅前にできたスイーツショップで来週からカフェの営業も始まるんだって!初日に行ってみようよ!」


「うんっ、行ってみたい!」



今度からは放課後に友達と遊んだり、大好きな彼氏とデートを楽しんだり。



「奈々美、美優が待ってる。帰るぞ」


「うん。今行く」



遅れてやってきた青春を、全力で楽しんでいきたい。