「そうだ。奈々美、美優が最近奈々美に会えてないって嘆いてる」


「あぁー……入学式とかでバタバタしてたもんね。私も美優ちゃんに会いたいなあ」



努力の甲斐あって、無事に美優ちゃんも受験を突破してついこの間この学校に入学したばかり。


新入生の部活動の正式な入部は来週からだけど、数人はすでに仮入部扱いで練習にも参加していて熱が入っているらしい。


美優ちゃんもその一人で、選手としてまた試合に出られるようにまずはトレーニングに勤しんでいるようだ。


どうやら翼くんは別の学校に進学したらしく、あまり会えない日もあるようだが仲良くやっている様子。


お互いリハビリも終わり、それぞれの新しい生活がスタートしていた。





「はーい、ホームルーム始めるぞー。皆席についてー。ほらそこ、初日から教室で遊ばなーい」



ガラガラとドアを開けて入ってきた先生は男の先生。どうやら去年龍之介くんの担任だったようで、持ち上がりらしい。



「えー、また担任深山センセーかよ」


「んだよなんか文句あるか?早く席つけー」


「だってセンセー、奥さんの自慢話と子どもの自慢話ばっかじゃーん」


「いいだろ?可愛いもんは可愛いの」


「いい歳して生徒の前でのろけないでくださーい」


「じゃあちゃんと先生の話を聞いて座ってくださーい」



フレンドリーで優しくて生徒とも仲が良いと評判の深山先生。


すでに盛り上がりを見せる教室の中は、笑い声で溢れていた。