「ふふっ、あ、でもね?今個室に入ってる奈々美ちゃんと同年代の女の子が、もうすぐ大部屋に移るって話になってるから、多分この部屋になると思うよ」


「そうなの?いつ?」


「うーん、早くて来週かな?」


「そっか……」


「それまでちょっとだけ我慢しててね」


「だから、寂しいわけじゃないからっ……」


「ははっ、うん。そうだね。……ほら、血圧測るから深呼吸して」


「はーい」



立花さんに言われて深呼吸をする。


その間に腕に血圧計を巻かれ、立花さんが空気を入れていく。


腕が締め付けられる感覚。次第に脈が自分でも聞こえてくる。


その圧迫感から解放されて血の巡りが良くなったのを感じて、再び深呼吸をした。



「……よし、頑張りました。血圧も問題ありません。じゃあもうすぐ夕食だからちょっと待っててね」


「うん」


「今日はカレーだって。良い匂いしてるよー?」



立花さんはニヤッと笑って私の頭を撫でてから、病室を出ていく。


カレーが出る日、私が密かに喜んでいるのを知っているようだ。顔に出ていたのだろうか。それもまた恥ずかしい。


立花さんの言う通り、運ばれてきた夕食はカレーライスだった。