「こっち。俺の部屋来て」
「う、うん」
男の子の部屋なんて初めてで。さらに緊張が増す私に気付いているのかいないのか、龍之介くんは私を部屋に通した後飲み物を持ってくると言って一旦出て行った。
龍之介くんの部屋は二階の一番奥の部屋で、中に入るとグレーの家具で統一されているシンプルでとても清潔感のある部屋だった。
どこに座ればいいのかわからずにそのまま立ち尽くす。することもないため部屋をぐるっと一周見回した。
ベッドとその前にあるローテーブル。壁にはテレビがあり、いくつかのゲーム機と繋がっているよう。
勉強机にはパソコンや勉強道具が置かれて、整理整頓が行き届いていて綺麗好きなのがすぐわかる。
綺麗なお部屋にすごいなあと思っていると、ココアを二つ持ってきてくれた龍之介くんが部屋に入ってきて。
「そこ、座っていいよ」
言われた通りにローテーブルの前、ベッドを背もたれがわりにして座る。
「はい、ココア好き?」
「うん。ありがとう」
渡されたマグカップを受け取ると、湯気の立ち上るそれをふーふーしながら口に傾けた。
ほんのりと広がる柔らかな甘みが身体に染みるようだ。