こちらを見ていた女子生徒が黄色い声をあげているのも気にせずに、龍之介くんはそのまま私の手と指を絡めた。
いわゆる恋人繋ぎというやつに、心拍数がどんどん上がる。
「りゅ、龍之介くん?」
「……嫌か?嫌なら離す」
「……ううん。嫌じゃない」
「じゃあ、このまま」
ドキドキしすぎて、胸の音が龍之介くんに聞こえてしまうんじゃないかと思った。
手汗でべたべたになってないかな。汗臭い匂いとかしてないかな。シャツは生乾きとかじゃないよね?
手を繋ぐと必然的に密着する身体に、どうでもいいことばかり不安になってしまって。
でもほんのり耳が赤く染まっているように感じる隣の影を見て、私の方が照れてしまって顔を上げられなくなった。
「……奈々美、今日暇?」
そんな時、突然の誘いに頷いて立ち上がる。
「うん。特に用事は無いけど……」
「じゃあ、ちょっと時間ちょうだい」
「うん。わかった」
どこに向かっているのかもわからないし、どうして手を繋いでいるのかもわからないけれど、龍之介くんの手が温かくて、思っていたよりもゴツゴツと骨張っていてやっぱり男の子なんだなあ、なんて改めて思ったりもする。
そのまま歩くこと十五分ほど。着いた先は見覚えのあるお家。
「ここって」
「俺ん家。入って」
「お、お邪魔します」
ドアを開けてくれる龍之介くんに断りを入れて中に入ると、白を基調としたおしゃれなお家が広がっていた。