――それから二週間が経過した。
頬の傷はやはり残ってしまうようだったものの、右手と右足は順調に骨がくっつき始めているようで安心した。
このまま問題無く癒合してくれれば、そのうちリハビリなんかも始まるだろう。
ずっと寝たきりだったから早く自分の足で立ちたい。
そんな私は個室から大部屋に移ることになった。
と言っても、あてがわれた四人部屋には私以外誰もおらず、ほぼ個室同然のもの。
一番奥のスペースまでベッドを押してくれた立花さんにお礼を言いながら、新たな部屋の空気を吸った。
しかし部屋が大きくなったことにより、私はむしろ個室の時よりも毎日孤独を感じていた。
「奈々美ちゃん、血圧測るよー」
「はーい。ねぇ、立花さん」
「ん?どうしたの?」
「何でこの部屋、私以外誰もいないの?」
「あぁ、ちょうど他の患者さんの退院と重なってね。ごめんね。せっかくの大部屋なのに誰もいないのも寂しいわよね」
「……別に、そんなこともないけど」
優しい笑顔がこちらを向く。
でも私は"寂しがりや"だと思われるのがなんだか恥ずかしくて、強がって憎まれ口を叩いてしまう。