龍之介くんのお家は私の家からもそう遠くは無くて。車で十分もいかないくらいの距離らしい。
同じ高校に通っているのも頷ける。
後部座席に並んで乗り込み、私たちが仲良くなった経緯を説明していた。
「じゃあ、龍之介くんの妹さんと奈々美が同じ病室だったの?」
「そう。それで美優ちゃんのお見舞いに来た龍之介くんとも仲良くなって」
「そうだったの。その妹さんは?」
「もうすぐ退院する予定です」
「そう。良かったわ。その妹さんにも今度お礼を言わなきゃ」
「いや、あいつは難しいことあんまりわかってないので」
たじたじになっている龍之介くんも珍しい。
笑いを堪えていると龍之介くんはじとりとした目でこちらを見ていて。それもまた面白い。
「お母さん、美優ちゃんは受験生なの。うちの高校受けるんだって。龍之介くんも同じ学校だったの」
記憶が戻って、お母さんにしゃべりたいことがたくさんあった。
「あらそうなの?すごい偶然」
そんな話をしているうちに龍之介くんのお家に着き、「今日はありがとう」とお礼を告げた。