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病院に連絡すると、東海林先生は手術中とのことですぐに会うことは難しそうだった。
立花さんは夜勤明けで休み。
私は両親に連絡をし、美優ちゃんの病室で東海林先生の手術が終わるのを待っていた。
もちろん隣には龍之介くんがいて、背中をさすってくれる。
美優ちゃんにも記憶が戻ったことを報告した。
「奈々美ちゃん、良かった。本当に良かったね……!」
「美優ちゃんありがとう」
忘れていた記憶を取り戻した。
それだけ伝えたため、その記憶の内容までは伝えていなかった。
"美優は多分噂のことなんて知らないし、今は怪我を治すことと勉強に集中させてやりたいんだ。奈々美の記憶が戻ったって知るだけでもあいつは喜ぶと思うから"
そう龍之介くんに言われたためだ。
「あとは私が退院して、無事に受験に合格するだけだね!」
「うん。あ、そうだ。実はね、私と龍之介くん、同じ高校だったんだよ」
「え!そうなの!?じゃあ私が来年入学したら奈々美ちゃんと同じ学校ってこと?」
「うーん……もしかしたら私転校するかもしれなくて。そればっかりはまだわからないんだ」
「そうなのか?」
「うん。出席日数が足りなくて。今も休学中なんだけど、復帰してももう留年は確定してるからどうしようかなって」
「そっか……」
話しているうちに、病室のドアをノックする音が響く。
美優ちゃんが返事をすると、そっと開いたドアの向こうから東海林先生が顔を出した。