数日後。


朝起きると、立花さんから一つのリュックを渡された。



「これ、奈々美ちゃんがここに運ばれた時に持ってたもの」


「ってことは、私の?」


「うん」



左手だけで開けるのはなかなか至難の技で、はやる気持ちを抑えつつ立花さんに手伝ってもらいながら中を見る。


学校で使っていたのだろうか、中にはペンケースや教科書。


それに授業で使っていたらしいルーズリーフが入っていた。



「あと、これも」



もう一つ渡された紙袋の中には、制服らしきもの。茶色いブレザーとチェックのスカート。


所々赤黒く変色しており、それが血によるものだとすぐに気が付いた。



「これも、ここに運ばれた時に奈々美ちゃんが着てたもの」



すでに血は固まってしまっている。


おそらくクリーニングに出したところでもう取れないだろう。



「……もう、この制服着れないね。新しいの買わなきゃだ」



赤茶のリボンが可愛らしい。


ブレザーを手に取って指で撫でていると、立花さんがふと声を漏らす。