立花さんの話から察するに、きっと私は一人暮らしか、それに準ずる暮らしをしていたのだろう。
だとしたら。……寂しかっただろうな。
自分のことなのに、やはりどこか他人事のように考えてしまうのは記憶喪失のせいなのだろうか。
「でも、この病院に運ばれてきてすぐに奈々美ちゃんのお母さんが帰国してきてくださったの。書類とかもいろいろサインしてもらわないといけなかったしね。でもそれが終わったらすぐまた海外に戻ってしまって。
奈々美ちゃんの目が覚めたって連絡した時、ご両親、すごく安心してたって聞いたわ。
記憶が無いことも、とても心配してた。
仕事が終わったら一番に来るって言ってたそうよ。だから大丈夫。ご家族に会うためにも、早く怪我を治しましょうね」
「……はい」
立花さんの切なげな笑みに、私は目を逸らしながら頷くことしかできなかった。