「だから焦らず、ゆっくりでいいんだ。確実に受け止められるくらいに、成長するんだよ」


「……うん」


「でも、一人で抱え込むのは別だからな?苦しくなる前にちゃんと周りを頼れ。誰かに甘えるのも勇気なんだから」


「甘えるのも、勇気。……そうだね。うん、わかった」



頷いていると美優ちゃんの病室の扉が見えてきた。


つい数週間前までは私もここに泊まっていたのに、今はお見舞い客として訪ねてきたのがなんだな不思議な感覚。


龍之介くんがノックして、中から「どうぞー」という美優ちゃんの声を聞いてから引き戸を開けた。



「お兄ちゃん。……奈々美ちゃん!」


「美優ちゃん、久しぶり」


「久しぶり!え、奈々美ちゃん来るって知ってたら私お出迎えに行ったのに!」


「はぁ?じゃあ俺ん時も出迎えろよ」


「お兄ちゃんはいいのー!ほら、奈々美ちゃん、こっち座って?」


「ありがと美優ちゃん」



久しぶりに聞く兄妹の馴れ合いのようなやりとりに笑みをこぼしながら、促されるままに美優ちゃんのベッドの隣の丸椅子に腰掛ける。



「ずっと奈々美ちゃん来るの待ってたんだよ?もっと早く来てくれると思ってたのに」


「ははっ、ごめんね。いろいろ忙しくて中々来れなかったの」


「もー。お兄ちゃんの顔は見飽きたし、こんなこと言ったらアレだけど、奈々美ちゃんがいた頃が恋しいよお……」



泣き真似をする美優ちゃんの頭をよしよしと撫でていると、



「見飽きたとはなんだ」



と龍之介くんが不貞腐れながら軽く小突く。


美優ちゃんも退院の目処がそろそろ立つらしく、それに向けてリハビリと勉強も続けて頑張っているらしい。