サプライズ。


その言葉通り、次の日の朝。私は自宅リビングで驚いて言葉を失っていた。



「……奈々美。大きくなったな」


「……お、とう、さん?」


「あぁ。奈々美は優しいな。何年もお前を置いて仕事ばかりになってしまった俺を、まだお父さんって呼んでくれるのかい?」


「だ、って。お父さんは私にとって一人しかいないから……」


「……奈々美」



目の前の光景が信じられなかった。


夢で見た、お父さんがそこにいた。


白髪が混じる短い髪の毛は、仕事帰りなのか綺麗に分けた状態でムースで固められているらしく、"仕事ができる人"なのだろうと容易に想像ができる。


実はお父さんはまだ海外勤務の任期はあったらしいものの、今後のキャリアを捨てて私のために日本に帰ってきてくれたのだ。



「今まで、本当にすまなかった。入院中も一度も見舞いに行けなくて、本当にすまない」


「……うん」


「でも、お父さんは奈々美を愛していないわけじゃないんだ。自分勝手なのはわかっているが、それだけは誤解しないでほしい」


「うん。わかってるよ」



夢で見た両親はすごく仲が良くて。


私も、お父さんのことが大好きで。


きっと、私のためにお仕事を頑張ってくれていたのだろう。