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「あら、あなたが奈々美ちゃんね?こんにちは。ついこの間までこーんな小さい赤ちゃんだったと思ったけど。ちょっと見ない間にすごく大きくなったわねぇ」


「……あの、本当によろしいのですか?」


「気にしないで。孫ができたと思って可愛がらせてもらうわ。だから心配しないでね」


「本当になんとお礼を言っていいものか……」


「いいのよ。お仕事じゃ仕方ないもの。連れて行くわけにもいかないものね。そういう時は年配者に任せて」



いつもと違うお家。


見上げた先にいた一人のおばさん。その人に、私は



「はじめまして。ななみです……」



とたどたどしく挨拶をした。



「あらぁー。人見知りしなくていい子ねぇ。お母さんがお仕事の間、おばさんが一緒に遊んであげるからね奈々美ちゃん。ほら、行こうか」


「申し訳ありませんが、よろしくお願いします。なるべく早く帰りますので!」


「急ぎすぎて事故にでも遭ったら大変なんだから落ち着いて。ゆっくりでいいから気をつけて行ってらっしゃい」


「それもそうですね。すみません、よろしくお願いいたします」


「気を付けてね。ほら、奈々美ちゃんも。お母さんに行ってらっしゃいは?」


「……いってらっしゃい、おかあさん」



寂しさをグッと堪えて、手を振った。





……あれ、これはなんだろう。


記憶?私が忘れている、昔のことだろうか。


このおばさんは……あぁ、そうだ。インターホンをしつこく鳴らす、あの女性だ。


こんな優しい喋り方をする人だったんだ。


そして……そうだ。この人が、昔から私を預かってくれていた二軒隣の……。






そこまで気が付いて。急にぐるんっ!と変わった場面。