二学期が始まった。今まで通り、図書室に行き、仕事をして本を読むという生活をしていた。その生活が功を奏したのか、二学期から僕の国語の成績が順調に上がっていった。一年生から二年生の一学期までの国語の点数は平均60点あるか、ないかだった。それが、中三の三学期まで平均してみると80点以上もの点数をとれるようになっていた。通知表も5段階評価中5がつくときもあった。ちなみに数学は高校の今でもそうだがとても低い。周りからはよく「得意教科と苦手教科の差が凄い」と言われる。綾瀬さんも国語の成績が良いことから、お互いの点数を競い合うことも多かった。
「今回は俺の勝ちだ!」
「総合では私の勝ちだけどね」
くだらない、ありふれた会話。けど、この下らなさが好きだった。その頃から、僕たちは教室に帰るまで二人っきりで帰ることが多くなっていた。
前述した通り、僕が本を読むのが好きなのは既にご存知だろうが、綾瀬さんも本を読むのが好きなのだ。
僕の学校では毎学期末にいろいろな表彰が渡される。一番早く給食室に来た回数が多いクラスに渡される表彰や一番多くペットボトルキャップを集めたクラス(リサイクルに使うそうだ)に表彰など様々な種類の表彰がある。その中の一つとして「多読賞」という表彰もある。その学期で一番多く本を借りた人に送られる表彰だ。
二学期末の最後は僕が一位、綾瀬さんが二位であった。
「俺が一位!」
「今までの総合なら私の方が借りた冊数多いけどね!」
「大事なのは結果だから!」
「じゃあ、最終的に一番多いのは私なんだから私の勝ちじゃん!」
表彰式が終わって、仕事のために図書室に来ていた僕たちは言い争いをしていた。大体いつもこんなやり取りをしている。
もう、二学期が終わる。この二学期は綾瀬さんとかなり仲良くなれた学期だと思えた。そんな自分を誇らしくも思えた。だけど、そんな僕がなぜ中三になってあんなことをしたのかは今の僕でもわからない…。