僕が中学一年生の三学期の頃、席替えで綾瀬さんと隣同士になった。それまで、話をしてこなかったから話しかけるのには多少緊張した。最初の挨拶には「よろしく」とそう伝えた。綾瀬さんから「よろしく！」と僕よりも元気な声で笑顔で答えてくれた。今、考えるとそのときに僕は既に綾瀬さんのことが好きになっていたのかもしれない。そうして、僕は君ともっと仲良くなりたいと思った。綾瀬さんはいろんな人に分け隔てなく接してくれた。きっとその性格から多くの人に好かれるのだろう。
綾瀬さんはそのとき副図書委員長だった。僕はその時、たまたま好きな本があったため図書館に行くのが自分の中でブームになっていた。そのため、綾瀬さんと会うことが多くなっていた。行くたびに、少しだけだが話をした。
「今日は何借りるの？」
「この本だよ。面白そうだから。」
この時には既に、僕はこの人が好きだ、と思い始めていた。
そして、ある日、綾瀬さんが僕に「本が好きなら図書委員になったら？」と聞いてきた。綾瀬さんからの誘いに僕が断るはずもない。僕は
「うん！」と元気よく答えた。
そして、僕たちは中学二年生となった。