たしかに、便乗されている感じはぷんぷんする。ただ言う通り、たしかにえみが言うことはすべてリストにあることだ。
「どうするんですかね」
「なに他人事みたいに言ってんの。もうリストが残り少なくなってきてるのよ?」
 プレッシャーをかけられた。ただ、リストが少なくなっているのはあなたが勝手に削除したり、二枚抜きしたりするからだ。本来は一日一つくらいのペースで堪能していき、一か月以上かけてクリアするはずだった。話が違い、スピード感についていけてない。
「リストを達成したら死ぬって言ってたよね?」えみが声を落とした。
「そうですね。でもフィニッシュと言っていて、明確に死ぬとは言っていないんですよ」
「なにそれ?」
「生きていてやりたいことをすべてクリアしてしまったら、もう満足だと思うんです。人生は長短ではなくて、何をしたか。そういう意味では長く生きることに意味はありません。八十歳まで生きても三十年分の経験しかしていない人もいれば、三十歳しか生きられなくても八十歳の経験をした人もいる。長短じゃないんです」
「なるほど、すごい理論ね」
「だからこのリストをやったら、もう八十年分くらい経験したなと思えるんですけど、その後どうするかは決まっていません。死んでもいいとは思うんですが、少し怖いんです」
「怖い?」