翌日、俺たちは百貨店にラーメンを食べに行った。
「しばらく食べられないからな。食べ治めだ」
「ソラ、馬車に鍋を積んだら、作れないの?」
リュカは無邪気にそんな質問をする。
「それは難しいかな。時間も手間もかかる料理だから……」
そう答えつつも、俺は前からいろいろと実験を繰り返していた。旅に役立てばいいんだけれど。
みんな無邪気にラーメンを啜っている。箸の持ち方がいちばん上手いのがエルダーリッチで、逆にいちばん下手なのはサレン。箸がX字になってしまっている。
「いつかマスターしてみせる……」
「ミュウ、オハシ、ツカエル!」
なぜかミュウはそこそこ上手に箸を持つ、というか体内に半分埋め込んで器用に食べていた。
満腹になった俺たちは、役所に行った。俺が作った馬車とロバを見て、フェリスがひとこと。
「これを、その生き物が牽けるのか?」
七人乗りということと、旅道具を積むことを考えると、少し大きなものになってしまったのは否めない。
「ちっちゃなお城みたい~」
ホエルの微笑ましい感想をよそに、
「君のデザインセンスは相変わらずだな。これじゃ動く魔王城だ」
エルダーリッチの手厳しいお言葉。確かに、全体的に黒を基調にしているし、ちょっと尖ってたりする部分がないではない。しかしさすがに魔王城というのは――。
「私の城も、こんな感じだった」
「……そうか」
魔王のサレンがそう言うのだから、イメージとしては妥当なのかもしれない。
「でも、こう見えてかなり軽く造ってあるんだ。かなり簡素な構造になってる」
「ほんとだ~」
と、ホエルが片手で馬車を持ち上げた。
「おやめなさい! あなたなら、鉄の塊でも一緒ですわ!」
フウカが咎めると、ホエルは馬車をドサッと降ろした。丈夫に造ったつもりではあるけれど、ちょっとドキドキさせられる。俺はロバを連れてきて、軛に繋いだ。動物の扱いは初めてだが、大人しいやつらで助かった。問題は、牽けるかだ。