わたしは口付けされる侭 未練断てずに涙する
あなたとわたしの胸の内 あわいを作る細腕は
あなたの力に堪え兼ねて 支え切れずに嫋やかに
あなたの情けに絆されて その場になよと崩折れる
鴎は綾に波を切り 潮騒繁くざわざわと
波は去っては亦打って 白き飛沫の足元に
生じては消え亦生じ 湿った砂と潮風と
仄かに匂う潮の香に 貴女と私は抱かれる
想いを拒むなだらかな 磯浜続く岩の影
その一時は黄昏の 日溜まり霧に遮られ
遥か彼方に冷ややかに 末期の光漂わん
気比の松原傾きて 今しも入り陽消え行かん
たゆたう靄のその先に 碧瑠璃の空 蒼き海
境いずこにあるかさえ 白き闇なる霧の中
しとどに熱き涙落ち あなたの小声の囁きに
わたしは黙して首を振り 透き通る頬蒼褪める
気比のお祭待たずして 他の男へと嫁くわたし
空と海との狭間にて 唯燦然と輝く陽
波に送られ海原に 黄金色した帯の橋
砂に刻みし足跡が 波に打たれて消えて逝く
恰も淡き雪のよに 二人の愛も融けて逝く
蒼く燻んだ樹海背に 波打ち際をどこまでも
ああ歩めども語れども 猩々緋なる陽の光
わたしは面上げられず おどろな響き背に纏い
さめざめと泣く細い肩 その陽光の消ゆる迄
唇微かに震わせて わたしは岸に佇みて
波の響きの鎮まりを 待って別れをそっと告ぐ
霧の帷に掻き消えて 白装束を身に纏う
あなたの影をいつまでも 心で追って背を向ける
わたしはひとり悄然と 身動きもせず踞まる
不意の叫びが口の端に やり切れなさを恨み泣く
ただ一筋の哀愁が 忘れ去られた白砂に
そこはかとなく漂って 闇に向かって走り出す
人気の眠る白浜の 無情なまでの静寂に
色づいた葉の騒きは 一際高く耳を打ち
小高い丘に迫り来る ああ時ならぬ嘆きあり
折から白き波に乗り 辺りしじまを破り裂く
わたしは岩に躓いて はたと倒れて波の中
白波寄せて弄び 頭を垂れて目を閉じる
すると刹那に様々の 昔日の愛駆け巡る
あたかも回る走馬燈 浮かび上らん鮮やかに
想えば永いよこたての あなたとわたしの巡り愛
あなたとわたしの胸の内 あわいを作る細腕は
あなたの力に堪え兼ねて 支え切れずに嫋やかに
あなたの情けに絆されて その場になよと崩折れる
鴎は綾に波を切り 潮騒繁くざわざわと
波は去っては亦打って 白き飛沫の足元に
生じては消え亦生じ 湿った砂と潮風と
仄かに匂う潮の香に 貴女と私は抱かれる
想いを拒むなだらかな 磯浜続く岩の影
その一時は黄昏の 日溜まり霧に遮られ
遥か彼方に冷ややかに 末期の光漂わん
気比の松原傾きて 今しも入り陽消え行かん
たゆたう靄のその先に 碧瑠璃の空 蒼き海
境いずこにあるかさえ 白き闇なる霧の中
しとどに熱き涙落ち あなたの小声の囁きに
わたしは黙して首を振り 透き通る頬蒼褪める
気比のお祭待たずして 他の男へと嫁くわたし
空と海との狭間にて 唯燦然と輝く陽
波に送られ海原に 黄金色した帯の橋
砂に刻みし足跡が 波に打たれて消えて逝く
恰も淡き雪のよに 二人の愛も融けて逝く
蒼く燻んだ樹海背に 波打ち際をどこまでも
ああ歩めども語れども 猩々緋なる陽の光
わたしは面上げられず おどろな響き背に纏い
さめざめと泣く細い肩 その陽光の消ゆる迄
唇微かに震わせて わたしは岸に佇みて
波の響きの鎮まりを 待って別れをそっと告ぐ
霧の帷に掻き消えて 白装束を身に纏う
あなたの影をいつまでも 心で追って背を向ける
わたしはひとり悄然と 身動きもせず踞まる
不意の叫びが口の端に やり切れなさを恨み泣く
ただ一筋の哀愁が 忘れ去られた白砂に
そこはかとなく漂って 闇に向かって走り出す
人気の眠る白浜の 無情なまでの静寂に
色づいた葉の騒きは 一際高く耳を打ち
小高い丘に迫り来る ああ時ならぬ嘆きあり
折から白き波に乗り 辺りしじまを破り裂く
わたしは岩に躓いて はたと倒れて波の中
白波寄せて弄び 頭を垂れて目を閉じる
すると刹那に様々の 昔日の愛駆け巡る
あたかも回る走馬燈 浮かび上らん鮮やかに
想えば永いよこたての あなたとわたしの巡り愛


