折角、鎌倉まで来たけれど、会いたい人には会えなかった。そこで、山下達郎の『クリスマス・イブ』のような歌が生まれる。
あなたは来るはずもない
黄昏の鎌倉に
わたしが甘かった
あなたを待つ鎌倉駅
明るい笑い声や
はしゃいだ語らいが
わたしを海に追いやる
あなたはもう来ない
暮れなずむ鎌倉に
わたしの思い過ごし
一人待つ鎌倉駅
あなたに電話した夜
横浜に買物へ
あなたは行くと言った
だから待つ鎌倉駅
今また下りホーム
見知らぬ仕合わせを
乗せて駅は華やぐ
あなたに似た後ろ髪
この胸を躍らせる
わたしは哀れなピエロ
あなたを待つ鎌倉駅
あなたのことはもういい
想い出をありがとう
けして強がりじゃない
わたしじゃ釣り合わない
過ぎ去る上り電車
未練な急行が
わたしを駅に残して
あなたはとても優しい
さようなら言えないで
いやな思いをさせた
あなたをいま解き放とう
久忠君、本を返すだなんて口実ね。本ぐらいなら、学校でも返せるはず。そうせずに、わざわざ吉田君を利用したのは、あなたがわたしに参っていて、わたしのためだけにドライブに来たことをわたしに悟られたくないからなのね。自尊心の強い方。そうやってあなたはわたしを愉しませ、わたしをあなたの足元に拝跪させようというのね。見え透いているのよ、あなたのすることは。そこで、中島みゆきの『宙船』のような歌が生まれる。
陽が落ちて星のしじま
潮騒たちのざわめき
海図さえない航海
北斗に向かって とも綱を解く
船底を叩く波頭
海鳴りたちのいざない
羅針すらない航海
うねりの奈落で帆を引き上げる
どこまで行けば島にたどり着く
光あふれる島はあるのか
誰でもただひとたびの航海
島を目指してひとり漂い進む
満天の星のしぶき
きらめきたちのささやき
無線すらない航海
舳先にたたずみ雄叫び揚げる
どこまで行けど島影は見えず
緑したたる島はまぼろし
誰でもただひとたびの航海
島がなくてもひとり漕ぎ続ける
たとえ島がなくてもひとり漕ぎ続ける
あなたは来るはずもない
黄昏の鎌倉に
わたしが甘かった
あなたを待つ鎌倉駅
明るい笑い声や
はしゃいだ語らいが
わたしを海に追いやる
あなたはもう来ない
暮れなずむ鎌倉に
わたしの思い過ごし
一人待つ鎌倉駅
あなたに電話した夜
横浜に買物へ
あなたは行くと言った
だから待つ鎌倉駅
今また下りホーム
見知らぬ仕合わせを
乗せて駅は華やぐ
あなたに似た後ろ髪
この胸を躍らせる
わたしは哀れなピエロ
あなたを待つ鎌倉駅
あなたのことはもういい
想い出をありがとう
けして強がりじゃない
わたしじゃ釣り合わない
過ぎ去る上り電車
未練な急行が
わたしを駅に残して
あなたはとても優しい
さようなら言えないで
いやな思いをさせた
あなたをいま解き放とう
久忠君、本を返すだなんて口実ね。本ぐらいなら、学校でも返せるはず。そうせずに、わざわざ吉田君を利用したのは、あなたがわたしに参っていて、わたしのためだけにドライブに来たことをわたしに悟られたくないからなのね。自尊心の強い方。そうやってあなたはわたしを愉しませ、わたしをあなたの足元に拝跪させようというのね。見え透いているのよ、あなたのすることは。そこで、中島みゆきの『宙船』のような歌が生まれる。
陽が落ちて星のしじま
潮騒たちのざわめき
海図さえない航海
北斗に向かって とも綱を解く
船底を叩く波頭
海鳴りたちのいざない
羅針すらない航海
うねりの奈落で帆を引き上げる
どこまで行けば島にたどり着く
光あふれる島はあるのか
誰でもただひとたびの航海
島を目指してひとり漂い進む
満天の星のしぶき
きらめきたちのささやき
無線すらない航海
舳先にたたずみ雄叫び揚げる
どこまで行けど島影は見えず
緑したたる島はまぼろし
誰でもただひとたびの航海
島がなくてもひとり漕ぎ続ける
たとえ島がなくてもひとり漕ぎ続ける