千鶴子の歌謡日記

  お前の苦しい 胸のうち
  辛い今こそ  知る時だ
  誠の友は   俺だけと

  付和雷同の  烏合ども
  孤高の男の子 ここにあり
  いずれ勝利の 勝ちどきを
  信じてひとり 我は行く

  利に囚われて 走るより
  大義のもとに 火を被る
  馬鹿を承知の 義理立てに
  命を懸ける  男意気

  笑う世間に   媚びるなら
  敢えてはもうぞ 冷や飯を
  今に見ていろ  軟派ども 
  辛苦の果てに  世は明ける

  たとえお前に  非はなくも
  言い訳なんぞ  見苦しい
  愚痴は言うまい 天は知る 
  男は黙って   酒を飲め


三月二十二日

 あなたとわたしは水と氷。一方を残せば、他方は消える運命。今日、電話を掛けてきて、あなたはこう言った。
「君も、もう二十歳だ。そろそろ見合いの話があるんじゃない?あのねえ、もし、そういう話があったらば、そして、君が見合いの相手の写真と履歴書を見て、見合いをしようとおもったら、そして、見合いをして、つき合ってみようと思ったら、そして、結婚してもいいと思ったら、僕に教えてくれない?手紙でも、電話でも、口頭でもいいから…というのはね、手遅れにならないうちに、つまり、手が詰まってしまう前に、先手を打っておきたいんだ。いいかい?」
 要するにあなたは、わたしが見合いをして相手が気に入ったと連絡したら、こういいたいんでしょ?
「ぼくも結婚を申し込むよ」
 でなきゃ、あなたは、わたしに結婚を申し込めない。純粋に、自らの意思では行動を起こせない人なのね。お生憎様。絶対にあなたに連絡するようなことは致しません。わたしには、わたしの結婚のことを、あなたに知らせなければならない義務はない。