昨夜、パッパラパーの美智子が遊びに来た。
「とめてちょうだい」
と言うので、彼女とシングルベットの上で絡み合うようにして寝た。
 彼女は、夜半まで、あたりを憚るようにして寝物語をしてくれた。まるで、『アラビアンナイト』やジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン』のように、彼女は、滔々と六人の男たちについて語った。話は、現在から過去へと遡及する。十八歳の年下の学生、十九歳の他の大学の学生、二十一歳のサラリーマン、二十四歳の行員、二十二歳の遠縁の従兄、二十六歳の義理のおじさん。・・・ところが、不思議なことに彼女は処女だった。彼女の語るセックスとは、ペッティングだけなのだろうか?
 彼女は、わたしの耳を唇で噛みながら、
「さみしい」
と言った。わたしも鸚鵡返しに、
「さびしい」
と呟いた。すると彼女の手が、わたしの下腹部に伸び、わたしのネグリジェは、まくり上げられた。わたしを全裸にすると、彼女も自分でパジャマを脱ぎ、少し鳥肌の立った素肌をわたしの素肌に押し付けてきた。彼女の唇は乾いた牛レバーのように、彼女の舌は熱い蛞蝓のように、彼女の指先はしなやかな海星のように、わたしの体を愛撫した。彼女の指先は、わたしの髪の毛から足裏まで這い回った。彼女の唇は、わたしの耳、唇、喉、肩、脇、乳首、臍、セクス、内股、太腿を経て足の指の股に至った。そうしながら彼女は、わたしの体を利用して、自分の体に刺激を与えた。例えば、わたしの下腹部を唇と下で愛撫しながら、時折、わたしの足の親指を彼女のセクスにあてがって、体をのけぞらしたり、わたしの体の上に跨って、わたしの乳首と自分の乳首を、接触させたり、わたしの膝頭を立てて、その上に跨り、激しく自分の体を上下させたりした。
 三時ごろ、彼女は困憊し、抱き合ったまま、わたしを自分の体の上に乗せると、息を切らせながら、
「入れて!入れて!」
と小さな声で哀願した。わたしは一瞬、悍ましいものを感じたが、彼女の哀願に応えて、右手の人差指を彼女の中に入れた。その時、彼女が処女であることに気付いた。