「最近、作詞家協会が売れない作曲家と歌手を抱えて、楽曲をレコード会社にプロモートするとう商売を始めて、彼女は何篇か詞を応募したみたいで、全部、合格して、曲をつけることになったらしいんだけど、レコード会社に売り込みが成功するまで、最低1曲につき1万円を1年間振り込まなければならいの。プロ―モーションの方法は、楽曲をただ、CDディレクターに送り届けるというだけのこと。当然、CDデビューの保証はまったくない。結局、それが詐欺まがいだということに気付いて、彼女、やめたみたい」
そこまで話が終わると、バリスタがラストオーダーを告げに来た。
翌日、作詞家協同組合の佐藤事務局長と会う約束をした。午後、銀座『マロン』の2階の事務室に向かった。途中、洋菓子店で手土産を購入した。
事務局長はカバのような顔と体形をした初老の男だった。土岐は名刺を渡し、事情を説明した。千鶴子が自殺したことについては、反応はなかった。全てを納得したように幾度もうなずいた。来し方を語り始めた。
「じつは、わたしも若いころ、作詞家を目指していました。自殺を考えたこともありました。作詞の才能がない事が分った時点で、作詞家になる望みを捨てたら、自殺する意味がなくなって、・・・でも、詞は好きだったので、音楽業界の周辺をうろつきながら、現在に至ってます」
そう言いながら、携帯電話をとり、1階の『マロン』にブレンドコーヒーを注文した。
「千鶴子さんは、作詞家になる希望を捨てきれなかったということですか?」
と土岐は、コーヒーの礼を言いながら、事務局長の目を見た。
「一度、相談を受けたことがあって、・・・下の喫茶店で、話を聞きました。そのとき、音楽関係の業界に就職してチャンスを探したらどうか、というアドバイスをしました」
「具体的に企業名を提示したんですか?」
そこまで話が終わると、バリスタがラストオーダーを告げに来た。
翌日、作詞家協同組合の佐藤事務局長と会う約束をした。午後、銀座『マロン』の2階の事務室に向かった。途中、洋菓子店で手土産を購入した。
事務局長はカバのような顔と体形をした初老の男だった。土岐は名刺を渡し、事情を説明した。千鶴子が自殺したことについては、反応はなかった。全てを納得したように幾度もうなずいた。来し方を語り始めた。
「じつは、わたしも若いころ、作詞家を目指していました。自殺を考えたこともありました。作詞の才能がない事が分った時点で、作詞家になる望みを捨てたら、自殺する意味がなくなって、・・・でも、詞は好きだったので、音楽業界の周辺をうろつきながら、現在に至ってます」
そう言いながら、携帯電話をとり、1階の『マロン』にブレンドコーヒーを注文した。
「千鶴子さんは、作詞家になる希望を捨てきれなかったということですか?」
と土岐は、コーヒーの礼を言いながら、事務局長の目を見た。
「一度、相談を受けたことがあって、・・・下の喫茶店で、話を聞きました。そのとき、音楽関係の業界に就職してチャンスを探したらどうか、というアドバイスをしました」
「具体的に企業名を提示したんですか?」


