土岐明は『千鶴子の日記』を読み終えたが、母親に依頼された、千鶴子の自殺の原因を見出すことはできなかった。とりあえず、母親に電話した。
「もしもし、先日お伺いした土岐明と申しますが・・・」
「どうも、その節は。いかがでしょうか、手がかりのようなものはありましたか?」
「現在白紙状態です。とりあえず、日記に登場してくる、白井研一という人の連絡先は分かりますか?」
「いいえ。千鶴子の葬儀の際、連絡しようと思ったんですが、大学は個人情報保護のため、教えられないということで、テニスの方は会員にそういう名前の人はいないということで」
「井阪という人も連絡はとれなかったんですか?」
「ええ。それに川村というお嬢さんとも連絡はとれませんでした」
「一緒に映画を見たというテニスコーチはいかがでしたか?」
「その人も、名前すら。それに、鎌倉にドライブしたという人も」
「どなたか手掛かりになるような人はいませんか?」
「友人はいなかったようです。日記に出てくる人を探したんですが、一人も・・・」
「そうですか・・・とりあえず、もう二三日検討して、日記の返却かたがた、ご自宅に伺います」
と言って土岐は電話を切った。
日記には何か所か、「死」に関する記載があったが、自殺願望とは読み取れなかった。とりあえず、幾度が登場する「マロン」という銀座の喫茶店をネット検索してみた。期待はしていなかったが、実在した。「スイス」というレストランも検索できた。
夕刻を過ぎてから、土岐は京浜東北線で、北上し、有楽町で下車し、銀座四丁目の交差点に出た。晴海通りの新橋寄りの1本隣の狭い路地に「マロン」はあった。細いビルの1階の店舗で、ブロック積みの小さな花壇があり、つつじの蕾が店内から零れるLED照明に照らされていた。2階の窓には、
『作詞家協同組合』
という張り紙が、
『作詞家』
という文字と、
『協同組合』
という文字に2分割されて、張り付けられていた。3階より上層階には、掲示も看板もなく普通の事務所のように見えた。
「もしもし、先日お伺いした土岐明と申しますが・・・」
「どうも、その節は。いかがでしょうか、手がかりのようなものはありましたか?」
「現在白紙状態です。とりあえず、日記に登場してくる、白井研一という人の連絡先は分かりますか?」
「いいえ。千鶴子の葬儀の際、連絡しようと思ったんですが、大学は個人情報保護のため、教えられないということで、テニスの方は会員にそういう名前の人はいないということで」
「井阪という人も連絡はとれなかったんですか?」
「ええ。それに川村というお嬢さんとも連絡はとれませんでした」
「一緒に映画を見たというテニスコーチはいかがでしたか?」
「その人も、名前すら。それに、鎌倉にドライブしたという人も」
「どなたか手掛かりになるような人はいませんか?」
「友人はいなかったようです。日記に出てくる人を探したんですが、一人も・・・」
「そうですか・・・とりあえず、もう二三日検討して、日記の返却かたがた、ご自宅に伺います」
と言って土岐は電話を切った。
日記には何か所か、「死」に関する記載があったが、自殺願望とは読み取れなかった。とりあえず、幾度が登場する「マロン」という銀座の喫茶店をネット検索してみた。期待はしていなかったが、実在した。「スイス」というレストランも検索できた。
夕刻を過ぎてから、土岐は京浜東北線で、北上し、有楽町で下車し、銀座四丁目の交差点に出た。晴海通りの新橋寄りの1本隣の狭い路地に「マロン」はあった。細いビルの1階の店舗で、ブロック積みの小さな花壇があり、つつじの蕾が店内から零れるLED照明に照らされていた。2階の窓には、
『作詞家協同組合』
という張り紙が、
『作詞家』
という文字と、
『協同組合』
という文字に2分割されて、張り付けられていた。3階より上層階には、掲示も看板もなく普通の事務所のように見えた。


