わたしは、もっと飲めばよかったと後悔した。酒精に身をゆだねて歩けば、街並みもシャンゼリゼのように見えたかもしれない。吉田拓郎の『我が良き友よ』のバンカラ風の下駄をはいた人とすれ違った時、カランコロンという響きが胸に淋しく響いた。いくつかの飲食店の前を通り過ぎた。ほの暗い店内の照明の下に、わたしはあの人の姿を求めた。飲食店の中にはいってまで、捜し求める勇気はとてもなかった。ひょっとしたら、あの人は、このなだらかな坂の下からやって来るかも知れない。そう思って、コンタクトレンズの近視の目を行き交う人の上に凝らしたけれど虚しかった。また、目に涙があふれてきた。
帰ろう、馬鹿々々しい。渡辺真知子の『迷い道』の「まるで喜劇じゃないの」。わたしは、そう小さく呟いて、踵をかえした。雨が降っていた。そこで、谷村新司の『狂った果実』のような歌が生まれる。
ひとしきりの雨
あなたのその手のひらを こぼれて落ちて
私の頬に掛かります
ひとしきりの雨
あなたにお見せしないと 約束をした
私の涙を隠します
互いの気持ちを確かめようと
電話もしないで三月過ぎたら
逢おうと仰る今のあなたは
女の心が分かっていない
ひとしきりの雨
あなたの後ろ姿を 銀色に染め
私の日記を濡らします
三月振りの雨
私の未練がみんな 流れて消えて
あなたを忘れ他の人
三月振りの雨
あなたが必ず逢うと 約束をした
私は心を隠します
互いの心を確かめようと
手紙も書かずに三月過ぎたら
私はあなたを今は忘れて
いつも逢える人求めています
三月振りの雨
私の嘘の微笑み かき消し去って
あなたの心を濡らします
研一、あなたは、なぜわたしを愛してくれないの?これほど、あなたのことを思っているのに。あなたは、わたしを誘って一緒に六本木に来ることもできた。でも、あなたには、川村さんと六本木に来た。
帰ろう、馬鹿々々しい。渡辺真知子の『迷い道』の「まるで喜劇じゃないの」。わたしは、そう小さく呟いて、踵をかえした。雨が降っていた。そこで、谷村新司の『狂った果実』のような歌が生まれる。
ひとしきりの雨
あなたのその手のひらを こぼれて落ちて
私の頬に掛かります
ひとしきりの雨
あなたにお見せしないと 約束をした
私の涙を隠します
互いの気持ちを確かめようと
電話もしないで三月過ぎたら
逢おうと仰る今のあなたは
女の心が分かっていない
ひとしきりの雨
あなたの後ろ姿を 銀色に染め
私の日記を濡らします
三月振りの雨
私の未練がみんな 流れて消えて
あなたを忘れ他の人
三月振りの雨
あなたが必ず逢うと 約束をした
私は心を隠します
互いの心を確かめようと
手紙も書かずに三月過ぎたら
私はあなたを今は忘れて
いつも逢える人求めています
三月振りの雨
私の嘘の微笑み かき消し去って
あなたの心を濡らします
研一、あなたは、なぜわたしを愛してくれないの?これほど、あなたのことを思っているのに。あなたは、わたしを誘って一緒に六本木に来ることもできた。でも、あなたには、川村さんと六本木に来た。


