しるしつけた壁のカレンダー
知らない振りしてあなたは破る
時のたつのは早いものねと
机の下のあなたの足を
編み棒で擽り微笑むわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
これから一人で暮らしたいと
口で言えないので鉛筆で
ミシンを動かすわたしに手紙
声も出さず一人読んでから
いやよと囁きわたしは破る
ビルの谷間に色褪せて行く
眩しい夕陽 わたしの髪を
金髪に染め変え震えるわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
しばらく一人で暮らしたいと
わたしが編んでるかわいいセーター
見てから部屋を出ることさえ
諦めてみたけど寝顔のわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
このまま暮らせば駄目になると
そうやってピサの斜塔のように、直立もせず、倒れもせず、中途半端な傾いた状態にしておいて、わたしに好きか、嫌いか言わせたいのね。さも紳士であり、人生を達観したかのような君子面をして。
本当のことを言うと、わたしはあなたを愛してはいない。あなたとわたしとの間に、どうして愛なんかが生まれよう。あなたの望むように、わたしがそう言わないのは、言いたくないからではなくて、言えないから。
あなたがわたしに、男らしく胸襟を開いて、それから改めてわたしに尋ねない限り、わたしは一言も口には出さない。そして、わたしが退屈している時だけ、あなたと付き合ってあげる。
だけど、あなたは、とても自分の腹蔵を開くようなことはするまい。だから、あなたは、永久にわたしの本心を知ることが出来ないのよ。永久に、とは言わないまでも、わたしが本当に愛する人を見つけ出すまでは。
要するにあなたは、暇を持て余した少女が手にする文学書のように、わたしにとって単なる消閑の具にすぎないのよ。あなたは、自分では、オフィリアを死に追いつめるハムレットのように、利口なつもりかも知れないけれど、わたしがあなたを本当は少しも愛していず、消閑の慰み者としか思っていないことを見抜けない分だけ、わたしよりもおバカさんなのよ。そして、セーレン・オービエ・キェルケゴールの『あれか、これか』のように、わたしに、
「僕を好きか、嫌いか」
知らない振りしてあなたは破る
時のたつのは早いものねと
机の下のあなたの足を
編み棒で擽り微笑むわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
これから一人で暮らしたいと
口で言えないので鉛筆で
ミシンを動かすわたしに手紙
声も出さず一人読んでから
いやよと囁きわたしは破る
ビルの谷間に色褪せて行く
眩しい夕陽 わたしの髪を
金髪に染め変え震えるわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
しばらく一人で暮らしたいと
わたしが編んでるかわいいセーター
見てから部屋を出ることさえ
諦めてみたけど寝顔のわたしに
ああ 今日も 今日も言えないのね
このまま暮らせば駄目になると
そうやってピサの斜塔のように、直立もせず、倒れもせず、中途半端な傾いた状態にしておいて、わたしに好きか、嫌いか言わせたいのね。さも紳士であり、人生を達観したかのような君子面をして。
本当のことを言うと、わたしはあなたを愛してはいない。あなたとわたしとの間に、どうして愛なんかが生まれよう。あなたの望むように、わたしがそう言わないのは、言いたくないからではなくて、言えないから。
あなたがわたしに、男らしく胸襟を開いて、それから改めてわたしに尋ねない限り、わたしは一言も口には出さない。そして、わたしが退屈している時だけ、あなたと付き合ってあげる。
だけど、あなたは、とても自分の腹蔵を開くようなことはするまい。だから、あなたは、永久にわたしの本心を知ることが出来ないのよ。永久に、とは言わないまでも、わたしが本当に愛する人を見つけ出すまでは。
要するにあなたは、暇を持て余した少女が手にする文学書のように、わたしにとって単なる消閑の具にすぎないのよ。あなたは、自分では、オフィリアを死に追いつめるハムレットのように、利口なつもりかも知れないけれど、わたしがあなたを本当は少しも愛していず、消閑の慰み者としか思っていないことを見抜けない分だけ、わたしよりもおバカさんなのよ。そして、セーレン・オービエ・キェルケゴールの『あれか、これか』のように、わたしに、
「僕を好きか、嫌いか」