千鶴子の歌謡日記

 ああ、あなたにわかってもらえるかしら。かけがえのない、嘘を許さない、永久の誠が。とこしえに変わらない。永劫不変の、一つの言葉、一つの表情、一つの微笑み、一つの仕種、そして一つの泪の滴。そこで、松井五郎の『ほんとうに愛にできること』のような歌が生まれる。

  ほんとのものを
  知っていますか
   水色の薄いヴェールに
    包まれて手を触れると
     すぐに壊れてしまうもの
  トランプのお城のように
   微風のほんのひとそよぎで
    どうにもならないほどに
     壊れてしまうもの
   それをあなたにあげたいけれど
    あなたはそれを壊さずに
     受け取り大事にしてくれるでしょうか

  ほんとの愛を
  知っていますか
   藍色の熱い心に
    包まれて手を触れても
     けして壊れはしないもの
  石垣のお城のように
   雨風に強く打たれようと
    少しも揺れないほどに
     強くて美しい
   そこにあなたと住みたいけど
    あたなはそこでいつまでも
     わたしを大事にしてくれるでしょうか

   愛をあなたにあげたいけれど
    あなたはそれを壊さずに
     育てて慈しんでくれるでしょうか



九月十一日

 長い夏休みは終焉した。吉田拓郎の『夏休み』はノー天気すぎて腹立たしい。学校の始まる三日前の昨日、テニス・クラブの納会があった。納会と言っても、森繁久彌の『知床旅情』のように「飲んで騒いで」酔っただけ。集まったのは、男子六人に、女子九人。もちろん、彼も来た。
 会費は女子が男子の半額だった。男子の方には飲み代が含まれているのだ。飲み会をやったのは、新宿の関西系のお好み焼き屋の奥座敷。つまらない話ばかり。海援隊の『母に捧げるバラード』の武田鉄矢のように物知りぶって得意そうに蘊蓄をたれる先輩には閉口した。不愉快でむかつくばかり。我慢しなければならないのがつらい。そこで、佐藤順英の『のんだくれ』のような歌が生まれる。

  お前 近頃 理屈こね
  まあるい物を 四角に畳み
  なんだかんだと ケチつけて
  何が不満で 角立てるのか

  女遊びが 足りないよ
  もとはと言えば 女のことで
  振った振らぬと 喚き立て
  何のことない 振られたお前

  お前は酒に 呑まれない