千鶴子の歌謡日記

という『おバカさん』の遠藤周作の物言いが好きだ。『死者の奢り』の大江健三郎みたいに、ぶよぶよと小太りの青白い男は、『個人的な体験』にのめり込んでいるようで、見るだけで吐き気を催す。『ノルウェーの森』の村上春樹の田舎のイモおじさんみたいなのも、作品から受けるイメージと本人があまりにも乖離しすぎていて、嫌い。文学好きな男は、決まって『岬』の中上健次の様な酷いブ男か、『風立ちぬ』の堀辰雄のような青白い痩せこけたもやし男なのだ。人を愛し、『蟹工船』の小林多喜二のように社会を変革しようという覇気もなく、どうでもいいような観念をねちねちとこねくり回す。『斜陽』の太宰治を嫌った三島由紀夫がボディビルで肉体を鍛え、盾の会を創設した気持ちがわかるような気がする。そこで歌が生まれる。

  かげり染む陽は
  あなたの心の移ろい模様 紙風船
  惑い落つ陽は
  わたしの心の戸惑い模様 紙風船
    この夕凪の巡り愛を
    いつまでも心に留めていたい
    だから沈み行く陽よ
    この真白な紙風船を染め変えて
    飛ばそう 飛ばそう紙風船
    遠く 遠く巡り愛を

  朽ちて舞う葉は
  あなたの心の悲しみ模様 紙風船
  枯れて散る葉は
  私の心の淋しい模様 紙風船
    この二度とない巡り愛を
    いつまでも心に留めていたい
    だから色づく葉よ
    この真白な紙風船を染め変えて
    飛ばそう 飛ばそう 紙風船
    高く 高く 巡り愛を

    この朝凪に燃える愛を
    いつまでも心に抱いていたい
    だから後ろ向かずに
    この空っぽな紙風船を膨らませ
    飛ばそう 飛ばそう 明日の愛
    熱く 熱く 巡り愛を