死後、絶賛された石川啄木や宮沢賢治の作品は好きだ。いずれも樋口一葉のように労咳で没した。石川啄木は貧困のうちに、宮沢賢治は『そういう人』になれずに逝った。『そういう人』とは好かれる人のことだ。宮沢賢治の周りは90%以上が農民だったから、彼は農業を勉強した。農業が好きだったわけではない。農民に好かれたいから農業を勉強したのだ。宮沢賢治の本性は人から好かれるようなものではなかった。西郷隆盛は多くの人から好かれた。彼を称賛する逸話や銅像が各地に残っている。人から好かれる人は人を好きになる人だ。人を嫌わない人だ。わたしは傲慢な人間が大嫌いだ。権力者にこびへつらう人間も大嫌いだ。自慢する人も大嫌いだ。だから、傲慢な人間や権力者や自慢する人や、それを取り巻くこびへつらう人から、私は嫌われる。『太陽の季節』の石原慎太郎は驕慢な人間は嫌われるということを知っていた。しかし、それが自分のキャラクターで、民衆はそれを求めていることを自覚しているから、やめられなかった。『太陽の季節』は文藝春秋に富を齎した。これに味をしめて、芥川龍之介賞は文藝春秋のドル箱になった。一発屋を輩出しても文藝春秋はおいしいイベントをやめられなくなった。芥川龍之介は地に堕ちた。
人から好かれる人は、シンパシー能力の高い人が多い。他者に同情できれば、同情された人は救われたと思う。キリスト教の愛は、同情だ。シンパシー能力の低い人は同情されても嬉しくない。だから嫌われる。母親は子どもに対するシンパシーがインプットされている。そうでない母親が子殺しをする。男は基本的にシンパシー能力が低い。だから戦争で、人を殺せる。殺人をためらった『俘虜記』の大岡昇平は、米兵を撃たなかったので、女性的と言える。
生きている間に文士の名声をほしいままにし、文学界の重鎮になった谷崎潤一郎や志賀直哉や武者小路実篤の作品は嫌いだ。三島由紀夫のように、焼失した金閣寺は好きだが、再建された金閣寺は嫌いだ。『舞姫』の森?外は好きだが、軍医総監に昇進してからの『半日』『ヰタ・セクスアリス』『鶏』『青年』は嫌いだ。そこで、森?外の『舞姫』を憐れんで、歌が生まれる。
赤い絹もあでやかに
涙の衣まとう君よ
ひとり異国の淋しさに
求めた男を許しておくれ
黒い絹もしめやかに
棺に涙添える君よ
人から好かれる人は、シンパシー能力の高い人が多い。他者に同情できれば、同情された人は救われたと思う。キリスト教の愛は、同情だ。シンパシー能力の低い人は同情されても嬉しくない。だから嫌われる。母親は子どもに対するシンパシーがインプットされている。そうでない母親が子殺しをする。男は基本的にシンパシー能力が低い。だから戦争で、人を殺せる。殺人をためらった『俘虜記』の大岡昇平は、米兵を撃たなかったので、女性的と言える。
生きている間に文士の名声をほしいままにし、文学界の重鎮になった谷崎潤一郎や志賀直哉や武者小路実篤の作品は嫌いだ。三島由紀夫のように、焼失した金閣寺は好きだが、再建された金閣寺は嫌いだ。『舞姫』の森?外は好きだが、軍医総監に昇進してからの『半日』『ヰタ・セクスアリス』『鶏』『青年』は嫌いだ。そこで、森?外の『舞姫』を憐れんで、歌が生まれる。
赤い絹もあでやかに
涙の衣まとう君よ
ひとり異国の淋しさに
求めた男を許しておくれ
黒い絹もしめやかに
棺に涙添える君よ


