千鶴子の歌謡日記

Give her my love  give her my love
  ジミーは死んだぜ 知ってたか
   オートレースの最中に
    ヘアピンカーブを切りそこね
  どうして死んだか 知ってるか
   あれほどうまいレーサーが
    ブレーキを踏み損ねたと
  胸を裂く冷たい仕打ちに マシンが潰れて
   ジミーは折れたハンドルにしがみついていた
  ジミーの叫びが 聞こえたか
   くたばる時に言ったこと
    燃えてるコックピットで
Give me her love  give me her love
Give me her love  give me her love
Jimmy forever Jimmy forever

二月二十二日

 試験も終わったし、どこか遠くへ行きたい。例えば、アフリカ。果てしない大地に野生の動物、底知れれぬエメラルド・ブルーの海、鬱蒼と茂れる密林、灼熱の真紅の太陽、月と星が出入りする静止した大海のような砂漠、引き裂かれる大地溝帯――これらアフリカのすべてが、わたしのあまりにも自由な血を無性にかきたてる。
 アフリカへ行きたい。アルチュール・ランボーのように、アルベルト・シュヴァイツァーのように、文化果つる地へ、この日本から、この暗鬱で不愉快で、やりきれないところから、脱出したい。
 アフリカについたら、一人のボヘミアンのように、アフリカを流浪し、タンバリンを持ってジプシーのようにボンゴのリズムで乱舞し、金鉱や油田探しに精を出すのも面白いだろう。
 苦渋に耐えて、陰鬱な日々を繰り返しているよりは、その方がはるかに幸せだろう。昼は焼けつくような太陽、夜は満天の星空、地球の鼓動と宇宙のささやきが聞こえてくるだろう。
 気がついたら、わたしは生きていた。わたしの肉体のすべては、わたしの外部に有ったもの。わたしの体で、わたしが造った物は何一つない。それを証明するのは簡単だ。飲まず食わずでいれば、わたしは餓死する。それから体内の細菌がわたしの細胞を腐敗させる。やがて、エントロピーが増大して、わたしは崩壊し、周囲の事物に馴染んでゆく。そして、宇宙の藻屑となる。わたしはもとに戻るのだ。
 そこで、阿久悠の『宇宙戦艦ヤマト』のような歌が生まれる。