けして離れはしないと言った
あなたはわたしの命生き甲斐
愛をあなたに心ささげて
遠い港も二人で漕げば
波も楽しく 苦労さざなみ
あなたは私のこの世の棲家
付いて縋って 雨降る夜も
お守りと破魔矢を買った帰りに、伝法院通りを流して、裏通りの飲食店をウインドウ・ショッピングした。ニューヨーク郊外のアメリカのスカスカした街の情緒と比べると、浅草には、濃厚な愛憎の名残が感じられる。
それにしても、父と母の間に濃厚な愛憎のやりとりがない。もう倦怠期すら通り過ぎたのか。わたしの人生にとって参考にならないことばかり。そこで、なかにし礼の『人生航路』のような歌が生まれる。
二度と辿らぬ人生航路
共に漕ぎ出す
夫婦の船出
あなたは私の
生き甲斐大船
思いやり合う
幸福海路
船路に誓う連れ合う言葉
永遠に離れは
しないと契る
あなたと私の
命は糾縄
愛を結んで
海空の果て
遠い路でも二人の船は
苦労帆かけて
愛風任せ
あなたは私の
舵取りマドロス
命托して
荒波越える
浅草ロックをだらだらと歩いていたら、不意に、
「榎本健一の『洒落男』が聞こえてきそうだ」
と祖父が言う。
「ちょっと遠いけど、小畑実の『湯島の白梅』が聞こえてく感じね」
と祖母が言う。
「隅田川が近いから、『明治一代女』が似合っている」
と父が答える。橋の袂から遊覧船が出ている。夏になれば、花火大会が開かれる。そこで、深野義和の『春夏秋冬 屋形船』の夏バージンの歌が生まれる。
酔って背中に 「ほ」の字と書いて
佃の「しま」よと 惚れ隠し
そんなお前が 死ぬほど愛しい
俺に任せろ お前の身上
夫婦(めおと)花火が 隅田に開く
俺とお前の 契りの夏祭り
・・・・・「たまや!かぎや!」
かがんだ胸に 水着のなごり
浴衣の谷間に 団扇挿す
そんなお前を 死ぬまで抱きたい
俺の花火は お前で火がつく
夫婦屋形の 艫綱解けば
俺とお前の 船出の夏祭り
・・・・・「船が!でるぞ!」
「島倉千代子が歌う『東京だヨおっかさん』の三番に、「こゝが こゝが 浅草よ お祭りみたいに賑かね」ってあるわね」
あなたはわたしの命生き甲斐
愛をあなたに心ささげて
遠い港も二人で漕げば
波も楽しく 苦労さざなみ
あなたは私のこの世の棲家
付いて縋って 雨降る夜も
お守りと破魔矢を買った帰りに、伝法院通りを流して、裏通りの飲食店をウインドウ・ショッピングした。ニューヨーク郊外のアメリカのスカスカした街の情緒と比べると、浅草には、濃厚な愛憎の名残が感じられる。
それにしても、父と母の間に濃厚な愛憎のやりとりがない。もう倦怠期すら通り過ぎたのか。わたしの人生にとって参考にならないことばかり。そこで、なかにし礼の『人生航路』のような歌が生まれる。
二度と辿らぬ人生航路
共に漕ぎ出す
夫婦の船出
あなたは私の
生き甲斐大船
思いやり合う
幸福海路
船路に誓う連れ合う言葉
永遠に離れは
しないと契る
あなたと私の
命は糾縄
愛を結んで
海空の果て
遠い路でも二人の船は
苦労帆かけて
愛風任せ
あなたは私の
舵取りマドロス
命托して
荒波越える
浅草ロックをだらだらと歩いていたら、不意に、
「榎本健一の『洒落男』が聞こえてきそうだ」
と祖父が言う。
「ちょっと遠いけど、小畑実の『湯島の白梅』が聞こえてく感じね」
と祖母が言う。
「隅田川が近いから、『明治一代女』が似合っている」
と父が答える。橋の袂から遊覧船が出ている。夏になれば、花火大会が開かれる。そこで、深野義和の『春夏秋冬 屋形船』の夏バージンの歌が生まれる。
酔って背中に 「ほ」の字と書いて
佃の「しま」よと 惚れ隠し
そんなお前が 死ぬほど愛しい
俺に任せろ お前の身上
夫婦(めおと)花火が 隅田に開く
俺とお前の 契りの夏祭り
・・・・・「たまや!かぎや!」
かがんだ胸に 水着のなごり
浴衣の谷間に 団扇挿す
そんなお前を 死ぬまで抱きたい
俺の花火は お前で火がつく
夫婦屋形の 艫綱解けば
俺とお前の 船出の夏祭り
・・・・・「船が!でるぞ!」
「島倉千代子が歌う『東京だヨおっかさん』の三番に、「こゝが こゝが 浅草よ お祭りみたいに賑かね」ってあるわね」


