高校の修学旅行は、大阪と神戸だった。イケメンのバスの運転手をからかったり、数人の仲間で、集合時間を無視して、明石焼きを食べていたら、集合写真の撮影に間に合わなかった。不良になったような気分だった。そこで、麻衣奈の『KOBE』のような歌が生まれる。
桜並木にいだかれた
爪先上がりの石畳
火灯し頃に暮れなずむ
想い出漂う神戸の街
ここで君に声も掛けずに
一人佇み見送ったのは
薄くれないの染井吉野が
不意に淡く白む頃
ダイヤの夜景にいま甦る
微笑みかける幻の君
小さな店に囲まれた
港を望めるトア・ロード
通りすがりの旅人に
想い出微睡む神戸の街
ここで君と腕も組まずに
二人彷徨うそぞろ歩きは
六甲おろしの冷たい風が
襟に絡み纏う頃
沖行く艀にいま甦る
足早に去る幻の君
一人淋しく立ち竦む
マリン・タワーが風に舞う
見知らぬ人のざわめきに
想い出さすらう神戸の街
ここで君の手さえ触れずに
胸のときめきただ懐かしく
外人やかたの緋色の紅葉
頬を紅く染める頃
港の霧笛にいま甦る
後ろ姿の幻の君
修学旅行は、本当は阿蘇山にゆきたかった。巨大カルデラの実物をこの眼で見たかった。自分がいかにちっぽけな存在か。宇宙を見るまでもなく、阿蘇山を見れば十分だと思えた。高校の担任が、
「修学旅行で行きたいところを調べるように」
と言ったので、阿蘇のガイドブックを買って調べてみたが、行き先は1年前に決まっていた。どんだくたびれもうけだった。そこで古家建雄の『大阿蘇』のような歌が生まれる。
熱い村の 想い出に
ひとり旅立つ 阿蘇高原
ここは火の国 つわものどもの
溜め息ばかり 花の城
夢も望みも 花に埋もれて
五百年の 愛は幻
肥後の夢の 足取りを
花に訊ねて 草千里
緑したたる 草面に君の
面影揺れて 烏帽子岳
熱い想いも お湯に流され
地獄栃木 赤水垂玉
緑の山辺に 咲く花を
探し求めて 阿蘇五岳
赤い砂の 千里ヶ浜の
君の瞳に はなしのぶ
旅の終わりに 愛を伝えて
桜並木にいだかれた
爪先上がりの石畳
火灯し頃に暮れなずむ
想い出漂う神戸の街
ここで君に声も掛けずに
一人佇み見送ったのは
薄くれないの染井吉野が
不意に淡く白む頃
ダイヤの夜景にいま甦る
微笑みかける幻の君
小さな店に囲まれた
港を望めるトア・ロード
通りすがりの旅人に
想い出微睡む神戸の街
ここで君と腕も組まずに
二人彷徨うそぞろ歩きは
六甲おろしの冷たい風が
襟に絡み纏う頃
沖行く艀にいま甦る
足早に去る幻の君
一人淋しく立ち竦む
マリン・タワーが風に舞う
見知らぬ人のざわめきに
想い出さすらう神戸の街
ここで君の手さえ触れずに
胸のときめきただ懐かしく
外人やかたの緋色の紅葉
頬を紅く染める頃
港の霧笛にいま甦る
後ろ姿の幻の君
修学旅行は、本当は阿蘇山にゆきたかった。巨大カルデラの実物をこの眼で見たかった。自分がいかにちっぽけな存在か。宇宙を見るまでもなく、阿蘇山を見れば十分だと思えた。高校の担任が、
「修学旅行で行きたいところを調べるように」
と言ったので、阿蘇のガイドブックを買って調べてみたが、行き先は1年前に決まっていた。どんだくたびれもうけだった。そこで古家建雄の『大阿蘇』のような歌が生まれる。
熱い村の 想い出に
ひとり旅立つ 阿蘇高原
ここは火の国 つわものどもの
溜め息ばかり 花の城
夢も望みも 花に埋もれて
五百年の 愛は幻
肥後の夢の 足取りを
花に訊ねて 草千里
緑したたる 草面に君の
面影揺れて 烏帽子岳
熱い想いも お湯に流され
地獄栃木 赤水垂玉
緑の山辺に 咲く花を
探し求めて 阿蘇五岳
赤い砂の 千里ヶ浜の
君の瞳に はなしのぶ
旅の終わりに 愛を伝えて


