千鶴子の歌謡日記

 赤といえば父が学生時代に憧れた革命。中国の国旗を見よ。ベトナムの国旗を見よ。革命はいったいどうなったのだろうか。キューバの国旗の赤が小さいのが気になる。よど号をハイジャックした共産主義者同盟赤軍派の人々は拉致事件の一端を担った後、北朝鮮の赤い国旗の下で何をしているのだろうか。所詮、革命への憧れは初恋と同じで、青春時代のひと時の熱病なのだろうか。それは男にとってはロマンスかも知れないが、周囲の女にとっては、迷惑以外の何物でもない。そこで、ウジェーヌ・ポティエの『インターナショナル』がBGMになりそうな歌が生まれる。

  わたしひとりの仕合せを
   求めて生きて行くことが
    そんなにいけないことですか
  今もあなたは革命を
   求めて生きているけれど
    いつになったら起こるんですか
   あなたの子供が泣いています
      この子にミルクを飲ますため
       資本主義の豚どもを
        相手に媚びを売ってます
  ああ あなた革命は
   一体いつ起こるんですか
  わたしとても待てません

  あなた一人の世間なら
   どうでも好きにすればいい
    だあれもなんにも言いません
  だけど世間は人の渦
   誰でも流されてしまう
    あなたもそのうちただの人
      愚かな女が待ってます
      一体何年たったらば
       プロレタリア革命が
        この子にミルクくれますか
  ああ あなた革命を
   一体いつ諦めますか
  わたしとても待てません

 わたしの思った通り、クラブ活動の様な学生運動は、いつの間にか終息した。次に来るのは、いったい何だろうか?石川達三の『開かれすぎた扉』の先を行くフリーセックスだろうか?そして、その次に来るのは、何だろうか?ルネ・トムのカタストロフィーだろうか。
 実学を標榜する専門学校教育を睥睨する大学教育の欺瞞は一体、いつまで続くのだろうか。わたしにとって大学は、空疎なテーマパークのようなもの。わたしは、大学生というモラトリアムの身分が欲しいだけなのだ。
 


十二月三日