その夜、十一時。
お風呂に入って自室に下がった後、再び左目が痛み出した。
昼間と同じように手で押さえ、固く目を瞑って痛みを紛らわそうとする。
ひと月に一度通っている眼科の先生には、学年末テストの勉強の疲れかも、と言われている。
次の診察まで、まだ二週間ある。
その前に診てもらった方がいいだろうか。
せっかく、来週千雅と隣町にいく許可をもらったけど、右目が頼りの私に映画は疲れる。
やめておくべきかな。
あまり無理して、このまま本当に見えなくなったらという恐怖で、心臓がドキンドキンと激しく打ち出し、床にペタンと座り込んだ。
両親には、この目の痛みのことは相談していない。
二人とも過保護で心配症だから、ちょっとしたことでも大袈裟になってしまうからだ。
でも、どうしよう。
どうしよう――と、痛みに耐えながら葛藤していると。
「!?」
いきなりザアッと強い風が吹きつけて、ビクンと肩を震わせた。
窓は開いていないはずだ。
ちゃんと閉まっているのを確認しようと目を開け――。
「俺が与えた神力が、尽きかけている」
物憂げな低い声と共に頬を撫でられる感触に、ひゅっと音を立てて息をのんだ。
目の前に、漆黒の装束を身に着けた男の人がいた。
片膝を突き、私の目……色の抜けた左の瞳をジッと見つめていた彼と、真正面から視線がぶつかる。
お風呂に入って自室に下がった後、再び左目が痛み出した。
昼間と同じように手で押さえ、固く目を瞑って痛みを紛らわそうとする。
ひと月に一度通っている眼科の先生には、学年末テストの勉強の疲れかも、と言われている。
次の診察まで、まだ二週間ある。
その前に診てもらった方がいいだろうか。
せっかく、来週千雅と隣町にいく許可をもらったけど、右目が頼りの私に映画は疲れる。
やめておくべきかな。
あまり無理して、このまま本当に見えなくなったらという恐怖で、心臓がドキンドキンと激しく打ち出し、床にペタンと座り込んだ。
両親には、この目の痛みのことは相談していない。
二人とも過保護で心配症だから、ちょっとしたことでも大袈裟になってしまうからだ。
でも、どうしよう。
どうしよう――と、痛みに耐えながら葛藤していると。
「!?」
いきなりザアッと強い風が吹きつけて、ビクンと肩を震わせた。
窓は開いていないはずだ。
ちゃんと閉まっているのを確認しようと目を開け――。
「俺が与えた神力が、尽きかけている」
物憂げな低い声と共に頬を撫でられる感触に、ひゅっと音を立てて息をのんだ。
目の前に、漆黒の装束を身に着けた男の人がいた。
片膝を突き、私の目……色の抜けた左の瞳をジッと見つめていた彼と、真正面から視線がぶつかる。