「そんなバカなこと言っていられるのも、俺の嫁になるからだ。でなければ、消滅していた。利はお前にしかない。なにが契約だ」

「仕方がないから、白夜が寂しくならないように、そばにいてあげます。一生……? いや、永遠に?」


高飛車に腕組みをする私に、胡散臭そうに眉をひそめる。
小馬鹿にして蔑む次の言葉を予期して、私は両手を後ろで組んでくるっと背を向けた。
足元の小石を蹴とばしながら。


「だって……白夜、私のこと好きって言わないじゃない。……変なヤキモチは妬くくせにさ」


拗ねて尖らせた唇の先で、ボソボソと独り言ちる。
もちろん、白夜には聞こえなくていい。
「え?」と聞き返されて、無言でかぶりを振って打ち消した。


彼だけじゃない。
私も、私だって。
白夜の優しさに触れて胸がきゅんとしたりしたけど、それを恋とはまだ呼べない。


でも、この人と過ごす永遠に、確かな光を見出せたから――私は、白夜に寄り添う自分に、意味を求めた。
白夜が言う通り、私も彼の『利』にならなければ。
彼のためにできることを見つけ出せたから、私は嫁ぐ決意をした。
私は自分を鼓舞しようと、一度大きくスーッと息を吸って……。