黄昏時、小町が首輪の鈴を鳴らしてやってきた。
「せっかくのパーティーだしね」と、人間の姿に変身した。
私が想像していた通り、人間で言うと二十代半ばくらいの女性だった。
ちょっと吊り目で、なかなかの美人。


小町は神力を使って、両親や千雅にも姿を見せてくれた。
千雅は、しなやかで色っぽい彼女を見て仰天した。
「あら~。あなたが例の千雅君」と言われ、私に誕生日プレゼントを渡してくれながら、彼女を気にしてソワソワしていた。
私にこんなに綺麗なお姉さんの知り合いがいたことに、驚きを隠せていない。


一方、父と母は、彼女が死神の眷属だと察したようだ。
たくさんの料理が並んだ食卓を囲んでパーティーを始めても、緊張気味に顔を強張らせていたけれど、小町が明るくさらりと飄々としているおかげで、徐々に表情も和らいでいった。


乾杯から二時間。
食べきれないほど作った料理がみんなのお腹に収まり、残り少なくなってから、私は徐に背筋を伸ばした。


「千雅。今日は来てくれてありがとう」


向かい側に座る千雅にお礼を告げると、彼は虚を衝かれた様子で目を丸くした。


「映画、行けなくてごめんね」

「なんだよ、改まって」


戸惑い気味に、ポリッとこめかみを掻く。