誕生日の朝、開け放った窓から見上げた空は快晴だった。
パーティーは夕食時、父が仕事を終えて帰ってきてからだ。


私は朝から忙しく準備に追われた。
本当は、私が一人で料理を全部作る予定だったけど、母が手伝ってくれた。


この一週間、母は父ほど上手く、私に課せられた現実を受け止め切れなかったようだ。
いつも通りに振る舞おうとしながら、心は不安定で、物憂げに沈んでいたり、啜り泣いていたり、そういう姿を時々見かけた。


一緒に料理する今も、口数は少ない。
手元に目を伏せ、なにか言いたいのに言いあぐねている、そんなもどかしい空気が伝わってくる。
それでも、私のそばを離れようとしない。


「……お母さん」


午後三時を過ぎて、料理が全部出来上がってから、私は母に声をかけた。


「ありがとう」


にっこりと微笑んでお礼を言う。
短い言葉に、私がどれほどの感謝を込めたか、感じ取ってくれただろうか。
母は目を潤ませ、スンと鼻を鳴らした。
ハンカチを当てて、目尻に滲むものを拭い、黙って頷いて応えてくれた。