「死神は、死と再生の神。父はあなたを信じて、嫁に迎えに来るって約束まで含めて、私の命を委ねた」


黙ったまま眉根を寄せ、長い睫毛を伏せて、


「何百年と人間の命を狩ってきて、あんな願いをされたのは初めてだった」


頬杖を解き、ポツリと呟いた。


「命を狩る以外の役割を、知る人間がいた。……ああ、柄にもなく、嬉しかったのかもしれないな。だから俺は、いずれは魂を回収しなければならないとわかっていて、お前に神力を与えたりしたのか」


自分のことなのに、他人事みたいに分析して、納得した顔をする。
そんな横顔に、私は確信を持って口を開いた。


「それならやっぱり、人間に怖がられて大丈夫なわけがない」


断言する私に、白夜はふっと眉をひそめた。


「本当は寂しいんでしょ? だから、ごめんなさい」


私が殊勝になって頭を下げると、浅く短い息を吐く。


「そうだとしても、もう何百年も前のことだな。寂しいなんて感情、忘れたよ」

「…………」


寂しい答えに、私は黙って唇を噛んだ。
もっとなにか言ってあげたいのに、相応しい言葉が見つからなくてもどかしい。
不甲斐ない自分に、唇が震える。