「……摘まみ食いって、どのくらい?」


ちょっと気になり、顎を引いて見下ろすと、小町が「みゃあん」と甲高く鳴いた。


「許嫁としては、夫になる男の女関係は気になる?」

「! そうじゃない。純粋に、好奇心でっ」


小町の人間の姿を見たことはないけど、きっとちょっとお姉さん……もしかしたら、白夜よりも年上くらいだろうか。
意地悪にからかって目を細める様が容易に想像できて、私は赤く染めた頬を膨らませた。
腕を解き、小さな身体を解放すると、小町は長い尻尾をピンと伸ばして座り……。


「茶茶くりまではしないわよ。お戯れ程度かしら?」

「ちゃ、茶茶くる?」


耳慣れない言葉に、私はずいと身を乗り出した。


「水葵にわかる範囲だと……」


小町が前足で顔を撫で、人間が顎を摩って思案するような仕草を見せる。


「う、うん?」


私は答えを待って、意味不明にドキドキした。
ごくりと唾を飲んだ時。


「小町。水葵に余計な情報を吹き込むな」


どこからともなく不機嫌な低い声がして、突風と共に白夜が降臨した。
バサバサと風に煽られる髪を手で押さえる私に目もくれず、ジロリと小町を睨む。


「あまり口が滑るようなら、鎖で繋いで現世への出入りを禁ずる」

「……横暴」