意思とは関係なくカタカタと震えるのを見て、グッと奥歯を噛みしめ……。


「私は、あなたの嫁になんかならない! 許嫁なんて認めないからっ」


肌が粟立つほど荒ぶる感情に任せて、勢いよく立ち上がった。
彼の反応を確かめずに、くるっと踵を返す。


「おい」


低い声が、私の背を追ってくる。
それでも振り返らずに部屋から出ようとして。


「待て」

「っ、放してっ!」


後ろ手を掴んで止められ、肩を動かして振り払った。
肩越しに振り仰ぐと、白夜が薄い唇をきゅっと結び、赤い瞳を鋭く光らせるのを見て、不覚にも怯む。
目を逸らさないよう、足にグッと力を込めて踏ん張った。
白夜はまさに神がかった美しい顔を、不快気にムッと歪め――。


「魂にも、自我はある。俺を憎もうが嫌おうが、お前の勝手だ」


底冷えしそうな冷たい声で言い放った。


「お前の十八の誕生日……『人間』としての余命が続く間に、自分で決めろ。消滅するか、俺の嫁になるか」

「っ……!!」


彼の言葉が終わるか終わらないかというタイミングで、ザアッと強い風が湧き起こった。
煽られてはためく髪を手で押さえ、ギュッと目を閉じ――。


「……?」


風がやんだのを感じ、恐る恐る目蓋を持ち上げる。
私は、自分の部屋にいた。